勉強したい、痩せたい、運動したい……。
そう思っても取り組めないこと、ありますよね。
そこで「めんどくさがりの自分を予定通りに動かす科学的方法」という本を読みました。
その内容をまとめていきます!
行動分析学で意志の力に頼らずに行動を変える
人間は、動機もやる気もあるのに、行動が起こせないメカニズムを持っています。
どうすればやる気が出るかで悩むのではなく、今すでにあるやる気をどうすれば行動に結びつけられるかを考える。
予定通りに動けない自分を「やる気がない」と自己否定するのではなく、先延ばしとはどのような現象なのか? やりたいはずのことをせず、代わりに何をしているのか?をまず観察することが大切です。
その原理と具体的な方法をみていきましょう!
死人テストで「行動」を言語化する
レコーディングダイエットというのがありますが、記録するだけで改善点が見つかり自然と行動が変わります。それと同様に、まずは自分の行動を観察し、できれば記録をしていくと良いです。
けれども自分の行動を観察すること、それは簡単なようで難しい。
そんなとき、「行動」をしっかり言語化するのに死人テストが役立ちます。
死人にできないことが行動であり、死人でもできることは行動ではない、というものです。
例えば、「勉強しない」というのは死人にもできることなので行動ではありません。
勉強をせず「Youtubeを見た」「友達と遊んだ」「部屋の掃除をした」となると行動です。
単に「勉強できなかった」「集中できなかった」と言うのは簡単ですが、勉強をせず、集中をせず、何をしていたのか?
その行動が何なのかによって、改善点が変わります。
例えば「Youtubeを見た」のであれば、携帯を遠くに置く、家ではなく外で勉強する、
「友達と遊んだ」のであれば、友達に宣言して試験まではあまり遊びに誘わないよう伝える、一緒に勉強する友達を見つける、
「部屋の掃除をした」のであれば、カフェや図書館で勉強することにする、部屋の掃除をする時間も予め決めておく、等の対策ができそうです。
望む行動を増やし、望まない行動を減らす
行動の分析ができると、次は増やしたい行動、減らしたい行動を決めます。
行動分析学では、帰ることを目的とした行動を「標的行動」と言いますが、ここで大事なのは、成果を標的行動にしないことです。
試験の合格や売り上げは成果であって、行動ではありません。試験の合否はコントロールできないものですが、「1日2時間勉強する」「問題集を3周する」であれば行動と言えます。
そのように増やしたい行動、減らしたい行動を決め、あとは記録していく。
「自分は結構頑張った」「それなりにやっている気がする」「Youtube見ているといってもそんなに見ていない」と自分の感覚で思っていることはあてになりません。
具体的に記録することで事実を掴むことができ、行動が起きる状況を分析して改善することができるようになります。
ABC分析
次に、記録したことを分析していく方法をお伝えします。
行動をその前後の状況から分析するABC分析というものがあります。
ABCは、Antecedent(直前の状況)、Behavir(行動)、Consequence(直後の結果)の頭文字で、
Bの行動に対し、Aの行動を起こすキッカケと、Cのその行動を繰り返させるような結果が起きているか?を分析します。
ある行動をした直後に本人にとって良い結果が生じた場合、その行動が増えたり強められたりします。
例えば、A「なんか疲れたなと思う」⇒B「Youtubeで好きなチャンネルを見る」⇒C「元気をもらって疲れが吹き飛ぶ」という感じ。
メリットが大きいためその行動を繰り返してしまうわけです。
これは人や動物において普遍的であるため、「なぜ自分は誘惑に負けてしまうんだ……」と自分を責めないことです。
なぜやった方がいいのにやれないのか?
「勉強しようと思っているのにできない」「運動が習慣化しない」のは、“即時の結果”と”将来の結果”の時間差があるからです。
すぐにメリットを得られるものの方が、行動が強化されてしまいます。
勉強や運動は結果があとで現れるので、なかなかメリットを感じづらく、継続できないのです。
むしろポジティブな結果はすぐには生じないどころか、ネガティブな結果(例えば問題がわからず辛い等)がすぐに生じます。それは避けたいと思うのも仕方ないですよね。
この「即時結果>遅延結果の原則」は、人として抗えないものだと受け入れた方がうまくいきます。
意志が弱い、気合を入れるといった精神論で解決するのではなく、受け入れて対策を練った方がいいのです。
じゃぁどうやって対策を練ったらいいのか?
ポジティブな即時結果を散りばめます。
例えば問題を1問解くだけで良しとする、1km走るごとに自分を褒める等です。
遅延結果までの長い道のりに、たくさんの即時結果が得られる機会を設定すること。これを意図的にやってみましょう。
いかに即時的なネガティブな結果を減らし、ポジティブな結果を増やすかが大事なので、例えば問題であれば難易度を下げることで、楽しいと思えるポジティブな結果を増やし、解けなくて辛いというネガティブな結果を減らすことができます。
行動分析学を活用したセルフマネジメント
ここまでの内容をまとめて、セルフマネジメントのポイントをお伝えします。
➀標的行動の定義
人が目標を達成できないと嘆くとき、そもそもコントロールできない成果を目標にしていたり、曖昧な目標にしていることが多いです。
漠然と「勉強する」「TOEICでいつか800点以上を取る」ではなく、具体的に「この問題集を解き切る」などと定義することが大事です。
➁記録をする
例えば勉強であれば、勉強に向かった頻度や時間、どの時間帯だったか、そのときどのような状況だったかを記録することで、自分が勉強しやすい状況とそうでない状況を分析することができます。
あとは、勉強しやすい状況を増やし、そうでない状況を減らしていくだけです。
③目標の設定
達成基準を決めること。まず1日に5分机に向かうなど低い目標の方が良いです。目標を達成できたことがポジティブな即時結果になるので、行動する良いサイクルが回っていきます。
④自己評価
達成基準を決めたら、次にそれを達成したかどうかを自分で判断します。
当たり前のように聞こえますが、目標の設定がなければ自己評価をすることはできません。
多くはぼんやり「痩せたい」と思っているだけで具体的な目標を設定できていなかったりするので、まずは評価可能な目標を設定することから始めましょう。
達成できた日には「カレンダーの空欄に好きなシールを貼る」など、視覚的に結果がわかるようにします。それがポジティブな即時結果として自分に影響を与えていきます。
⑤自己強化
最後に、望ましい行動をより多くしていくために、ご褒美を使います。ポジティブな即時結果を増やすわけです。
例えば、「好きなYoutuberの動画を見ること」が好きだとしたら、「2時間勉強すること」を目標とし、その目標を達成したら動画を観られるというルールを設定します。
目標を達成したら記録し、ご褒美を得る。そのサイクルを繰り返すことで、行動が増えていきます。
ここでポイントなのが、目標と自己評価があいまいだと、達成していなくても「まぁ今日なんとなく頑張ったし、疲れたから動画でも見よう」となし崩し的にご褒美を得てしまいます。
そうすると目標設定は形骸化されていくので、常に目標・評価・ご褒美のサイクルが最適かを見直していくことが大事です。
上手くいかないときにはセルフコンパッション
ここまでお伝えしたことをやっても、できないときはたくさんあると思います。
そんなときは自分を大切にするセルフコンパッションが大切です。
目標を立てると、「達成できない」ということは起こり得ます。それでも、目標を立ててやろうとしなかった場合よりは多くのことが達成できているはずです。
「できたこともある!」「やろうと思ったことは素晴らしい」「前の自分よりも頑張っている」と自分を褒めていきましょう。
「めんどくさがりの自分を予定通りに動かす科学的方法」、是非読んでみてください!