前野先生と由佐さんがザ・メンタルモデルについて対談した本を読んだ

無意識がわかれば人生がかわる 生活と子育てに役立つ心理学

『無意識がわかれば人生が変わる』という本を読みました。

前野 隆司さんと由佐 美加子さんの対談形式の本です。

由佐 美加子さんは『ザ・メンタルモデル』という本を書かれていますが、それらの内容について慶応義塾大学大学院の教授で幸福学の研究をしていらっしゃる前野 隆司先生が聞いていく対談が本になっています。

メンタルモデルとは?

前野さんは、「メンタルモデル」は認知心理学(情報処理の観点から、知覚、記憶、思考など生体の認知行動を研究する学問)の概念ですよね、と仰っていて、

それに対し由佐さんは、認知心理学でいうメンタルモデルは、簡単にいえば「人間は思い込み(認知)から世界を見ている」という話で、ピーター・センゲの『学習する組織』に出てくる氷山モデルの一番下が、メンタルモデルになっている。普通はその定義はかなり広いが、わたしは「人間の根幹にある無自覚な信念」というかなり狭い意味でメンタルモデルという言葉をつかっているとのこと。

由佐さんの『ザ・メンタルモデル』では、人間は、小さいころに体験した「痛み」を避けるための信念(思い込み)を無意識に持っている。その信念から日々の行動がつくり出されている。そのシステムを「生存適合OS」と呼んでおり、人は痛みを避けるための回避行動か克服行動しかしていない、という考え方が書かれています。

その無意識の生存システムを、意識的に顕在化させる、ことを由佐さんはされているわけです。

4つのメンタルモデル

では意識的に顕在化させた、4つのメンタルモデルをみていきましょう。これは由佐さんが多くの方のメンタルモデルに触れてきた中で、4つに集約できると気づいたことで生まれています。

どれか一つに当てはまるというよりも、この4つのモデルの濃淡らしい。ただこれまで探求した結果この4つだというだけであり、時代によって変わったりするものだから鵜呑みにはしないで欲しいとのこと。

欠損欠陥

わたしには何かが決定的に欠けている」という信念(思い込み)があるのが欠損欠陥タイプ。

不本意な出来事があると自分のせいだと自分を責めてしまう、責められた感じになる、不安から行動しがちなのでやることが増える、なかなかモノが捨てられない、といった傾向があり、

人のなかで安心して自分でいられない、心の平安がないという代償があります。

誰もが凸凹のままでも、ありのままで安心して存在していられる世界を願っています。

愛なし

わたしはありのままでは愛されない」という信念(思い込み)があるのが愛なしタイプ。

恒常的な寂しさがあり、つながりを失って一人になってしまうのが怖い、人に与えてばかりで疲れてしまう、相手を不快にさせる言動はできるだけ避けるといった傾向があり、

人に過剰に尽くして自分の真実を生きられないという代償があります。

誰もが自分を無条件に愛し、理解し合える関係性で人間同士がつながっている世界を願っています。

価値なし

わたしには価値がない」という信念(思い込み)があるのが価値なしタイプ。

人に価値を出さなければ自分はいる意味がない、いる価値はない、人からの期待に応えたい、意味のあること以外やりたくないといった傾向があり、

他人軸で生きるため、自分がなくなるという代償があります。成果が求められる会社などの組織で生じやすいモデルです。

何ができてもできなくても、自分はいるだけで価値がある、とすべての人の価値が認められている世界を願っています。

ひとりぼっち

わたしはひとりぼっちだ」という信念(思い込み)があるのがひとりぼっちタイプ。

人が去っていく、離れていく、つながりが断たれる分離の痛みを持っています。

しょせん人は一人で生きているという孤独感、来るもの拒まず・去る者追わず、「好きにしたらいい」が口癖といった傾向があり、

常に自分や人、世界を割り切って捉え、決してなくならない孤独を抱えるという代償があります。

人が命の全体性の一部を担っているというワンネスの感覚のなかで誰もが自由に自分の人生を生きている世界を願っています。

生存適合OSの外に出て客観視してみる

これに気づいてどうなるの?というところなんですが、まずはこの生存適合OSの中で生きていることに気が付くこと。

枠の外に出て、客観視することができれば、「システムにつくり出された回避行動で人生を生きているわたしも本当の意味では自分ではない」、「痛みと回避行動を卓越させた結果としてできあがったアイデンティティにすぎない」と気づく。痛みを回避している自分と、本質的な意味での自分の区別がつく。ということらしい。

例えば、「本当の自分ではわたしは愛されない」と思っている愛なしさんは、自分を偽って人に愛されようとする傾向にあります。「わたしには価値がない」と思っている価値なしさんは、常に努力して価値を創り出そうと身を粉にして頑張ります。

それをやめてみたらどうなるのでしょう。自分を偽らなくても人に愛されるかもよ? 努力しなくたって価値あるよ? そういわれてもなかなか信じられないけれど、「愛されない」「価値がない」と思い込んでいるのも自分自身だったりするのです。

枠の外に出てみて、それって本当にそうなのかな? 私の思い込み?と客観視してみることが第一歩です。

まとめ

『無意識がわかれば人生が変わる』というタイトルの意味が、少しは伝わったでしょうか?

私たちには無意識の信念(思い込み)があり、その痛みを回避するための行動を反射的に取っています。その仕組みに気づくこと、無意識をわかることが、その仕組みから抜け出す、つまり人生が変わる第一歩です。

気になった方は是非『無意識がわかれば人生が変わる』、そして『ザ・メンタルモデル』も読んでみてください!

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