育児により増えた家事時間で幸福度が下がっている!? 横浜の研究結果からみえたもの

育児により増えた家事時間で幸福度が下がっている 生活と子育てに役立つ心理学

育児とウェルビーイングの関係に興味を持っており、調べていたら「子供が生まれて家事が増えると女性の幸福感は低下 夫は妻の半分しか家事をしていない 結婚・子育て世代1万世帯を調査」というタイトルの記事を見つけました。

子供が生まれて家事が増えると女性の幸福感は低下 夫は妻の半分しか家事をしていない 結婚・子育て世代1万世帯を調査 | ニュース | 保健指導リソースガイド
 フルタイムで働く妻の平日の家事時間は、子供がいない家庭で1.8時間であるのに対し、子供ができると2.2~2.5時間に増える。 それに対し、夫は妻のおよそ半分の時間しか家事をしておらず、子供数と家事時間にも関連がみられないこ

横浜市立大学や横浜市が、横浜在住の結婚・子育て世代1万世帯を対象に実施した大規模なアンケート調査の結果が記事になったものです。

この記事ではないのですが、育児をしている親はウェルビーイングが下がり、子どもが巣立つとまたウェルビーイングが上がるというのを聞いたことがあるので、興味をもって読んでみました。

そもそも:ウェルビーイングとは?

ウェルビーイングとは、「心身と社会的な健康を意味する概念」のことです。

個人の健康だけでなく、社会の健康も必要というのが面白いですよね。

IDEAS FOR GOODの記事で、このような描写も見つけました。

例えば、飲み過ぎの男性が存在するという背景には、社会の問題があり、社会が健康であれば個人も健康になるからだ。

https://ideasforgood.jp/glossary/well-being/

それでいくと、育児で疲れ果てた親が存在するという背景には、社会の問題がある。

例えば、

  • 核家族化が進んだ上に周囲との関係が疎遠になり、孤独な中で育てている
  • 共働き世帯が増えて夫婦ともにあまりにも忙しい中で子育てをしている
  • 仕事も育児も!と求めるものが大きすぎて出来ていないことにばかり目が向いてしまう

とか。挙げれば挙げるほど、そうだよなぁ~~~ 親のウェルビーイングを高めると共に、社会の問題も解決したい……!という気持ちが湧いてきます。

横浜での5年間の大規模なコホート研究

少し長くなりましたが、冒頭にあげた記事の内容を見ていきたいと思います。

この記事で取り上げられていたのは横浜市立大学や横浜市が、横浜在住の結婚・子育て世代1万世帯を対象に実施した大規模なアンケート調査「ハマスタディ」。5年間にわたる大規模なコホート研究で、本結果は1年目の調査結果とのこと。

  • 女性は子供ができると家事時間が増加
  • 子供ができて家事が増えた分は主に女性が担っている
  • 女性の育児時間は男性の2倍

といった結果が得られた模様。他にも以下のような結果が書かれていた。

夫の家事時間が増えると、妻の家事時間は減る

このタイトルだけ見ると、そりゃそうやんと思ったのだが、面白いのが「育児時間では夫婦間での相関関係は確認されなかった」こと。つまり、夫の育児時間が増えても妻の育児時間が減ったわけではなかったということですよね。家事は分担で、夫がやった分減るけれど、育児は妻ひとりでやるか夫と妻ふたりでやるかになっているということですね。面白い。

妻ひとりでやるよりは楽かもしれないけれど(人によってはそうでもないかも)、正直欲しいのは自分の時間、休む時間だと思うので、ふたりでやっても休めない。

パパに子どもと過ごしてもらっても「ママ、ママー」という声が聞こえてくる状況になるのもわかるので、そう簡単にはいかないよなぁと思いつつ。ママが一人でお出かけするとか、パパと子どもだけでお出かけするとか、そういうことができるといいなぁと思う。

妻の家事時間が長くなるにつれ幸福感は悪化、育児時間との相関は見られない

ただ、面白いのが家事時間が長くなると幸福感が下がるけれど、育児時間が長くなることで下がったとはいえないそう。

こちらの結果は、主観的幸福感と呼ばれる指標を使用し、現在の幸福感を0点~10点で選択してもらったもの。

妻の家事時間が長くなるにつれて、ウェルビーイングは悪化する傾向がみられた一方で、育児時間とウェルビーイングでは、こうした関係は確認されなかったとのこと。育児によってウェルビーイングが下がっているのかと思ったけれど、育児により増えた家事によってウェルビーイングが下がっているということか。

そう思うと、育児は代わってもらえなくても家事を代わってもらえたら良さそう。

3,272世帯の回答結果から得られた研究結果

記事のタイトルには1万世帯と書いてあったけれど、1万世帯に調査票を送付し、回答は3,272世帯から得られたとのこと。こういうのは、回答した人には余裕があったりする可能性も高いので、偏りは感じる気もするが、それを念頭に置いた上でも面白い研究結果だと思う。

5年間の研究の1年目とのことなので、これからも楽しみである。

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